ダニエル・ゴールマン『EQこころの知能指数』を読み解く①

皆様、こんにちは。
飯塚えみです。
毎月私とみのるさんで各1度づつ配信していくこのニュースレターでは、私からは20年ほど前に世界中でベストセラーとなった、ダニエル・ゴールマン『EQこころの知能指数』より、EI(Emotiona Intelligence/エモーショナル・インテリジェンス= こころの知能指数)という考え方を紐解いていきます。
そもそもEI心の知能とは、自己や他者の感情を知覚し、また自分の感情をコントロールする知能を指します。
最初にEIの考え方が生まれたのは1960年代です。でもその概念に注目が与えられるようになったのは1996年心理学者ゴールマンの著書『EQこころの知能指数』がベストセラーになってからでした。
みなさんが優れたリーダーやチームメイトを思い浮かべた時、その人にはどんな特性が備わっていますか? 優しい、頼りになる、意見を尊重してくれる、正直なコミュニケーションなどなど。
それらは知能指数=IQ、またはこころの知能指数=EI、どちらでしょうか?
ゴールマンはこのEIを伸ばすことにより人間関係の改善やリーダーシップの向上につながると言っています。
リーダーシップとは言いますが、みんなどこかの小さな場面ではリーダーとして存在するのかも?
ゴールマンの挙げるEIの主要な構成要素は下の表の通り。
ゴールマンはEIを構成する最も基盤である自己認識について
“knowing one’s internal states, preference, resources, and intuitions.” と言っています。
”自己認識とは、自己の内なる状態、優先順位、本質、そして直感について知っていること”だと言うことです。
彼は、自己認識へのプラクティスは気づきのプラクティスであり、その要がマインドフルネスだと言っています。
ゴールマンはこの本を書くにあたって、
*情動とは:(心理学用語)怒り、恐れ、喜び、悲しみなど、比較的急速に引き起こされた一時的で急激な感情の動きのこと(Wikipediaより引用)
「情動について科学的に解明された事実を読者のみなさんに紹介し、私たち自身や周囲の世界を時として混乱に陥れる不可解な場面をもっとよく理解するための案内役を務めたいと思う。そして最終的には、情と知の統合とはどういうことか、どうすればそれが可能なのかを理解できるところまで到達したいと思う。」
と述べており、
つまり
「情動について科学的に明かされてきた様々な事実を知り、情動を理解しよう。その情動と知性がどうやったらお互いを支え合えるか学ぼう」
と言っており、
「こころの働きを知的に理解することは、物理学を量子レベルで眺めるのに似て、今まで見ていたものがちがって見えてくるようなインパクトをもたらすだろう」
つまり、
「こころの働きを理論的に理解することは新た視野を加えるだろう」
と言っています。
この本の第一部では、情動に関する脳の仕組みについてわかってきた様々なことが、感情が知性を圧倒してしまうことがある理由を説明できるようになったことを書いています。例えば怒りを抑えられない時など。
第二部では、生まれ持った神経科学的素質がEI=情動の知性にどう影響するか?ということについて。EI=情動の知性とは、衝動をコントロールできる能力で、他者の気持ちを汲み取る能力、人間関係を円滑に処理する能力などのことです。
第三部では、EIがどれだけ人生に違いをもたらすのかについて。情動は遺伝子配合ですでに決まっており、それが気質を決定していきます。でもそれについての脳神経は素晴らしく柔軟で、気質は変えられる、ということ!
第四部では、人はどうのようにして情動を学び、EIを形成していくのか?ということについて。幼少期から思春期までの間が情動学習にとって最も重要だということ。
第五部では、人生をよりよく生きるための情動学習を取り入れている先進的な学校の様々な例が紹介されています。
この本を一緒に読みながら、
ー自分の情動を知り
ーその本質を受け止め
ー内側に気づき続け
ー自分を深いレベルで知り
ー掘り下げ
ー自分と共感し
ー他者と共感し
ーエモーショナルインテリジェンス、こころの知性を学んでいきましょう。
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そもそもEIは人間誰もが生まれつき持っている能力で、読み書きのようにプラクティスで伸びる能力だと言われています。
日経、経済界のこちらの記事ではhttps://net.keizaikai.co.jp/archives/42202
ビジネス界でのEIの必要性についてまとめられています。
“ビジネスは『感情を持つ人』からできています。そのため、人の感情を扱うことは、ビジネスそのものを扱うことだとよく言われます。”
“『自分が本当に何をしたいのか? 感情にどのように向き合っていけばよいのか?』”
“「自分が何のために働いているのか?」、「自分の弱みと強みは社会にどう生かせるのか?」、「自分はどんなことに喜びを感じるのか?」など、これからの時代は『感情を扱える力そのものが知性』として重要となります。”
(以上上記の記事より抜粋)
そもそも情動を司る脳の神経回路は過去5万世代の産物で、百万年をかけて形作られたものです。サバイバルの過程で有効だった情動反応が、自然なこころの動きとして、感情として残っているのです。
(例えば、敵や捕食者に狙われた時のサバイバル反応(ストレス反応)が闘争逃避反応へと脳神経回路を変えたことが命を助けた、等。)
そんな情動の本質を理解するツールとなるこちらの一部を本から抜粋し、次回は《情動とは何か?》についてまたこちらの本と向き合っていきましょう!
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◎怒りを感じると、血液は両手に集まる。武器を握ったり、敵に殴りかかったりするための準備だ。心拍数は上がり、アドレナリンなどのホルモンが一気に増加して、激しい動作に必要なエネルギーを引き出す。
◎恐怖を感じると、血液は両足などの大きな骨格筋に流れて逃げる準備をする。(中略)脳の中の情動を支配する部分が大量のホルモンを分泌するように命令し、いつでも行動が起こせるよう全身を緊張状態におく。
◎幸福を感じているときの生理学的変化としては、脳の中で否定的な感情を抑制したり有益なエネルギーの増加を促したりする部分の活動が活発になること、不安感を生じさせたりする部分の活動が停止すること、などがあげられる。
◎愛情ややさしい気持ちや性的な満足感には、副交感神経系を覚醒させる働きがある。(中略)こういう状態のときは、他人との協調も容易になる。
◎悲しみがもたらす生理学的変化は、親しい人の死や深い失望などこころの大きな痛手に適応するのに有効だ。悲しみを感じたとき、人間の活動意欲(特に楽しい活動に対する意欲)やエネルギーは低下する。(中略)このようなうちに引きこもった状態は、喪失や挫折を気のすむまで嘆き、それが人生にもたらす影響の重さを測る時間を与えてくれる。
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All love, Emi
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(日程) (テーマ)
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『体編』 3月12日 体で感じるストレス反応と対策
『心編』 5月7日 心で感じるストレス反応と対策
『人編』 6月4日 人間関係のストレス対策